施工例

古民家洗浄アク抜き【長野県伊那市高遠 中村家様】レポート4 柿渋塗装

2011年12月2日
 伊那市高遠の古民家「中村家」様でのアク抜き塗装工事。
 いよいよ柿渋塗装の工程です。
 柿渋は化学塗料が普及する以前から日本で利用されてきた伝統的な塗料で、タンニンを含む青柿を発酵させて作ります。自然で趣のある赤色が特色で、防腐、防水など幅広い効果があります。

(2011.11.14~)

 

養生~

メッシュとビニールで覆い お隣様の車を養生 これが柿渋です
  工事発注をいただいた当初は木部専用塗料「ガードラック」を使用して明るい色にする計画でしたが、古民家としてのたたずまいを尊重する観点から「柿渋」をご提案させていただきました。
 お施主様も「プロの意見ならそれがいいでしょう」とご了解をいただき、今回の柿渋塗装が実現しました。
 柿渋は独特のにおいがあり、一部スプレーを使って塗装するため、メッシュとビニールで二重の覆いを行いました。

試し塗り~本塗り

目立たない部分で試し塗り 本格的に塗布開始 独特の赤色
  現場には柿渋の酸味の強い匂いが漂います。主成分であるタンニンはポリフェノールの一種。飲用も可能で、二日酔いの防止や高血圧症の予防に効果があるとか。やけどや切り傷に塗れば皮膚の保護効果があります。建物にも人にも優しい素材なんですね。……匂いはちょっと優しくありませんが。
 天井付近はスプレーで塗布。木部に浸透するので、独特の赤色は時間が経つにつれて変化していきます。
隣家近くはハケで 玄関格子戸塗装 塗装完了、乾燥
 ムラが出ないように注意しながら塗装。乾燥するにつれ、匂いは落ち着いていきます。

白壁・雨樋塗装

かなり進んできました 漆喰部分(塗り1回め) 漆喰部分(塗り1回め)
 2階の漆喰部分には、つや消しの「ケンエース」を2度塗り。木部には1階と同様柿渋を塗ります。
 雨樋や鼻隠しもきれいになりました。
漆喰部分(塗り2回め) 雨樋も美しく 家内安全のお札
 写真では少し分かりにくいですが、漆喰部分は塗料をきちんと重ね塗りすることでムラがなくなり美しく仕上がりました。
 2階の柱には、「奉修柴燈護摩供家内■■ 大宝院」と記されたお札が掲げられていました。
 柴燈護摩供とは、修験道や密教系寺院で行われるいわゆる「火渡り神事」のこと。大宝院というお寺は全国に数ケ寺あるようです。大切な文化財をこれからも守ってくださることでしょう。

メディア取材

取材風景(信毎様) 信毎様12月1日付け記事
取材風景(中日様) 中日様12月9日付け記事
 伊那市内でも有数の古民家が美しく蘇るということで、信濃毎日新聞社様、中日ホームニュース様が取材にお越しくださいました。
 信毎様では12月1日付け、中日新聞伊那ホームニュース様では12月9日付けで掲載されました。サムネール画像をクリックすると拡大できます。

 次回レポートでは、土台部分の覆い作業の様子をお届けします。

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